今注目の白ワイン「ルガーナ」
暖かくなってくると白ワインが飲みたくなりますね。 今年の春夏は北イタリアの白ワイン『Lugana ルガーナ』はいかがでしょう?
ルガーナという名前の響きが美しくて、私はルガーナを飲んだこともない頃からなんとなく憧れを抱いていました。
この名前は中世前期の言葉「ルーカス(森)」に由来すると言われています。
というのも、この地域はもともと「セルヴァ・ルカーナ」という沼地の多い深い森に覆われていたそうです。
ルガーナはここ数年非常に人気がある白ワインで、柑橘類やりんご、白い花、ハーブ、ミネラルの香りがあり、味わいはフレッシュで溌剌としていて、酸とミネラルが非常に強く、柑橘やアーモンドのような充実した風味があります。
熟成により複雑さを増し、驚くほどの長期熟成能力を発揮します。
ルガーナの産地は北イタリアのロンバルディア州とヴェネト州にまたがっています。
イタリア最大の湖『ガルダ湖』の南湖畔の平野がその中心となります。
このエリアは比較的温暖で穏やかな気候に恵まれています。
湖の北東にあるドロミテの山々がアルプスからの冷たい風を防ぎ、ガルダ湖が夏の暑さや冬の寒さを和らげ、昼夜の激しい温度差からも守ってくれます。
また湖からの微風の影響もあって、ブドウは健全に完璧に成熟するのです。実はガルダ湖周辺では柑橘やオリーブなども栽培されています。
アルプスの麓に位置しながら、気候は地中海的なんですね。
ガルダ湖は北ヨーロッパの人々、特にドイツ人に人気のリゾート地。
実際ルガーナワインもドイツの人たちにとても人気があります。
土壌は氷河が運んできた氷堆石土壌で、石灰分が豊富な粘土が中心となります。
丘陵部ではやや砂や小石が多くなります。
以前、「Tenuta Roveglia テヌータ・ロヴェーリア」というポッツォレンゴ村にあるルガーナの生産者を訪ねたことがあります。
そのときの土壌の話で印象的だったのが、この辺りの土を掘っていくと、深くなればなるほど土が白っぽくなっていくそうで…。
つまり土壌に含まれる石灰分がどんどん多くなっていくということです。
テヌータ・ロヴェーリアのカンティーナとなっている14世紀に建てられた古い建物に使われているレンガはこの土地の土壌で造られたもので、通常のレンガ色のものから白っぽいものまで、まるで土壌見本のよう。
この土壌もストラクチャーのあるミネラル感豊かなルガーナワインの個性をかたちづくる重要な要素の一つとなっています。
ルガーナを造るブドウはトレッビアーノ・ディ・ルガーナといいます。
地元ではトゥルビアーナと呼ばれており、この土地で何世紀にもわたり栽培されている土着品種といわれています。
トレッビアーノ・ディ・ルガーナはガルダ湖がもたらす温暖な気候と氷堆石の粘土石灰質土壌でそのポテンシャルを最大限に発揮します。
ルガーナには5つのタイプがあります。
ベースのルガーナは白い花や柑橘類のデリケートな香りがあり、フレッシュで爽やかな飲み心地の白ワイン。
スーペリオーレは最低1年は熟成されたワインで、甘く熟したリンゴやオレンジの香りが混ざり、ベースのルガーナに比べストラクチャーのしっかりした、高い酸とミネラル感に支えられる白ワインとなります。
リゼルヴァは最低24ヶ月の熟成(うち6ヶ月は瓶熟成)が必要なルガーナで、香りはより複雑になり、酸とミネラルは厚みを増し、包み込んでくれるような深い味わいと長い余韻のルガーナです。
スーペリオーレやリゼルヴァは悠に10年を超える熟成が可能です。
またヴェンデンミア・タルディーヴァはブドウが過熟するまで収穫時期を遅らせるいわゆる遅摘みワインで、まろやかで濃厚な果実味がありますが、酸は落ちずにしっかりしているので重すぎることはありません。
そしてスプマンテ(スパークリングワイン)があります。
テヌータ・ロヴェーリアではテイスティングのときに地元のサラミやチーズを出してくれました。
ルガーナは白ワインなので、合わせる料理は魚をイメージされるかもしれませんが、これらのサラミやチーズが抜群に合うんです。
ルガーナの持つ酸とミネラル感はサラミの美味しさを引き立ててくれますし、
ヴェンデンミア・タルディーヴァ(遅摘み)はチーズとの相性が最高でした。
スーペリオーレやリゼルヴァなどの骨格のしっかりしたものは鶏、豚、仔牛などの白身肉料理をシンプルに調理したものとの相性がとても良いです。
また、ガルダ湖に行ったなら楽しんでいただきたいのが、湖の魚料理とのアッビナメント。
私は白身魚のグリルをいただきました。
地元で「コレゴーネ」や「ラヴァレッロ」と呼ばれる繊細な風味の白身魚で、シンプルにグリルにして、オリーブオイルとレモン、イタリアンパセリをかけたものです。
湖からのそよ風を感じながら、爽やかなルガーナワインとともにいただいたランチは最高でした。