赤ワインと頭痛

赤ワインを飲むと頭痛に…!?

赤ワインを飲むと頭が痛くなりやすいという話をよく耳にします。
みなさんの中でも赤ワインに対して苦手意識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

頭痛の原因は本当に赤ワインなのでしょうか?

赤ワインといえば…健康に良いイメージが強いですよね。

黒ブドウの果皮に多く含まれるポリフェノールの一種「アントシアニン」は、眼精疲労を軽減、活性酸素を除去し、悪玉コレステロールの発生を防いで、動脈硬化やがん予防に効果があると言われています。

さらに注目のポリフェノール「レスベラトロール」は発がん作用を抑える効果が期待される物質です。

ところで頭痛を引き起こす原因としてよく知られているのは「アセトアルデヒド」。

体内に取り込まれたアルコールが肝臓で分解されて生成される物質です。
有害なアセトアルデヒドはさらにアセテート(酢酸)に分解されて、アセテートは血液にのって全身を回りながら、水と二酸化炭素に分解され、体外に排出されます。

アルコールを大量に摂取した場合、肝臓がアセトアルデヒドを十分に処理しきれず、体内のアセトアルデヒド濃度が高くなり頭痛を引き起こす、というものです。
ただこれは、赤ワインに限らず全てのアルコール類に共通することです。

また、よく頭痛の原因と疑われるのが酸化防止剤として使われる「亜硫酸塩」です。

しかしワインに添加される亜硫酸塩はごく少量。その基準値は国により異なりますが、日本では0.35 g/kg = 350 ppm未満。ただ実際はこんなに使っているワインはほとんどなく、ドライフルーツに含まれる亜硫酸塩の1/10以下です。とても健康に害を及ぼす量とは言えません。

そして実際は、赤ワインより白ワインのほうが若干多くの亜硫酸塩が含まれるため、これもまた赤ワインの頭痛の原因にはなり得ません。

ではなぜ…!?赤ワインが頭痛の原因といわれるのか

ひとつの原因物質として「ヒスタミン」があげられます。

どこかで聞いたことのあるような名前ですが…、
そう、アレルギーを引き起こす、あの「ヒスタミン」です。

ヒスタミンは、粘膜や皮膚に存在する肥満細胞がアレルゲンによって刺激を受けたときに放出される物質ですが、酒類ではビールやワインなどの醸造酒にごく微量存在し、白ワインよりも赤ワインに多く含まれていることが分かっています。

ヒスタミンは脳の血管を拡張させる作用があり、頭痛を引き起こすという仕組みです。

また、他の可能性として「チラミン」という物質も知られています。

チラミンはヒスタミンとは逆に、血管を収縮させる作用があります。すると身体は逆に血管を拡げようと働きます。その結果、血管が膨張し頭痛を引き起こすという仕組みです。

ワインに含まれるチラミンは、マロラクティック発酵(乳酸発酵)によって生成されます。この発酵は一部の白ワインと多くの赤ワインに行われる発酵で、酸味がまろやかになり、味わいに複雑味が増し、微生物学的にも安定することから、非常に重要な発酵の一つです。

結果、チラミンという副産物を生んでしまうわけですが、ごく微量であり、通常は体内で分解されるので問題はありません。

また、チラミンの生成量は、使用される乳酸菌株の種類により変化することが知られています。嬉しいことに、近年主流となっている株種からは、ほとんどチラミンは生成されないようです。

そして、赤ワインに含まれる健康に良いとされるポリフェノール自体にも血管を拡張させる働きがあり、これもまた頭痛の原因になるとのことです。

ワインとの食べ合わせによっても頭痛は起こりやすくなります。

その食品として、熟成されたチーズ、チョコレート、ナッツ、燻製肉、ソーセージやサラミなどが挙げられます。

結局のところ、上記以外にも頭痛の要因はいくつもあり、通常は過剰摂取しない限り大きな問題とはなりません。

ただ、アルコールに強い人、弱い人がいるように、それぞれの物質に対する許容量、代謝能力に関しては個人差が大きく、全く悪影響が出ない人もいれば、少量でも反応してしまう人もいます。
また同じ人でも、その日の体調や環境、食べ合わせによっても変わってくるのです。

酒は百薬の長」とも言われますが、これは適量の場合。

ワインの健康効果についても「ワインは健康に良い?」の回でお話しましたが、やはり適量の場合に限ることで、飲み過ぎはかえって良くありません。

当たり前のようですが、空腹時を避けて何かを食べながら、お水を飲みながら、自分のペースでゆっくりとワインを嗜むことが、頭痛にならないための一番の秘訣かと思います。

自分の体と相談しながら、美味しく健康に赤ワインを楽しんでいただきたいと思います。

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