ワインは健康に良い
酒は百薬の長
「酒は百薬の長」という言葉があります。
適量の飲酒はどんな良薬よりも効果があると、中国の歴史書「漢書」に記された言葉です。また古代~中世ヨーロッパでも、ワインは薬として用いられてきた歴史があり、ブルボン朝初代フランス国王「アンリ4世(1553-1610)」の「良き料理、良きワインがあれば、この世は天国」という名言はよく知られるところかと思います。
実際、白ワインの健康効果としては、殺菌作用、食欲増進効果、整腸作用、利尿作用などが挙げられます。
特に注目すべきは、白ワインに含まれる有機酸による大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒菌に対する殺菌力。
「生牡蠣にはシャブリ」とはよく言ったもので、味わいのベストマッチングというだけでなく、牡蠣を白ワインと一緒に食べ合わせることにより、食中毒を予防し、安全に美味しい牡蠣を楽しめるという効果があります。
実際、私の知人のお話ですが、何人かで牡蠣を食べた際、ワインを飲めなかった人は見事に牡蠣にあたってしまい、適度にワインを楽しんだ知人は難を免れたとのこと。
白ワインの殺菌力、侮れません。
赤ワインの効用
そして注目すべきは赤ワイン。
赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールがさまざまな生活習慣病の予防に役立つというものです。動脈硬化、心疾患、脳卒中、高血圧、癌、アルツハイマー病など、現代に生きる私たちには嬉しい効用ばかり。
1990年代に社会現象にもなったフレンチ・パラドックス。多量の動物性脂肪(バター、チーズ、肉類、フォアグラなど)を摂取する食生活を続けると虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)のリスクが高まるが、世界有数の動物性脂肪の消費国フランスでは虚血性心疾患の死亡率が低いというもの。これをきっかけに、世界的に赤ワインの消費量が増大しました。
これだけを見ると、赤ワインってなんて素晴らしい飲み物なんでしょう、と思いますよね。
しかしながら物事を多角的に見る冷静な目はここにも必要で、どうやらフランス人は肝臓疾患(肝臓癌、肝硬変…)、アルコール依存症など、アルコールの過剰摂取による病気が多いようです。
実際、2016年度の世界の平均寿命を調べてみると、日本は2位、フランスは15位となっています。フランスが決して上位なわけではないのです。どんな食品にも当てはまることですが、「適度にバランスよく」が必要なのです。
おいしい食事を食べながら、笑い、リラックスしてワインを飲み、それが楽しい時間であることが、ワインが健康に良い飲み物であるための必須条件であると思います。
そして飲み過ぎは避け、休肝日を設け、ワインと程よい関係を続けていくことで、ワインの健康効果を十分に享受することができるのではないでしょうか。