ワインが生まれた国「ジョージア」のこと

今日はワインの起源の話。

ジョージアという国、ご存じですか?
かつてグルジアと呼ばれていた国「ジョージア」は、西アジア・コーカサス山脈の南麓、西に黒海を望む場所に位置します。この辺りは南コーカサス地方と呼ばれ、かつてシルクロードの起点であり、シルクロードを通して日本と繋がっていた場所でもあります。

ジョージア出身の有名人と言えば、2018年初場所で平幕優勝を果たして注目を浴びた角界のニコラス・ケイジの異名を持つ力士「栃ノ心」や、かつてルイ・ヴィトンで活躍し、現在はバレンシアガを率いるデザイナー「デムナ・ヴァザリア」が知られていますね。

実は最近、ジョージアで紀元前6000年頃と推定される壺(クヴェヴリ)が発掘され、それを化学分析したところ、世界最古のワイン醸造の痕跡が見つかったということで大きな話題となりました。国立博物館の奥には、当時のブドウの種の化石が保管されているそうです。

一般的には「アンフォラ」と呼ばれるワインを醸造・熟成させる壺、ジョージアでは「クヴェヴリ」と呼ばれ、このクヴェヴリを使って造られるジョージアの伝統的なワイン醸造方法は、2013年にユネスコ無形文化遺産に指定されました。クヴェヴリは土の中に埋めて使います。質の高い粘土で作った壺を1,200℃という高温で焼き上げられたクヴェヴリは、陶器というより磁器に近く、2,500ℓという大きさはスムーズに発酵を進めるため、また外の土の影響を受けにくい最適の大きさです。

 

ジョージアワインは伝統的に、白ブドウは果皮発酵と言い、皮と種を取り除かず3~6ケ月一緒に発酵させることによって、トパーズワイン(オレンジワイン)となります。出来上がるワインの色合いからそのように呼ばれていますが、総じて香りは華やかで複雑、洋梨や白桃のハチミツ漬け、金木犀、香木、紅茶など、香りの要素を挙げだしたらキリがありません。味わいの最大の特徴は渋みがあること。洗練されていて奥行きがあり、余韻は長く、お肉料理を呼ぶワインと言えるでしょう。

もちろん現代的に造られた白ワインもあり、それを飲むと日本の白ワイン「甲州」を思わせます。「甲州のルーツはジョージアにあり」と唱えるワイン専門家もいます。シルクロードで運ばれた可能性を考えたらその可能性は高いですね。ところで、我が国の和食も、2013年にユネスコ無形文化遺産に指定されています。甲州の祖先かもしれないジョージアワイン×和食、素敵なペアリングになりそうですね。

赤ワインに関しても、ピノ・ノワールのようになめらかでエレガントなワインから、カベルネやシラーのようにスパイシーで濃厚なワインまで、様々なタイプのワインが造られています。何しろジョージアは土着品種の宝庫、その数525種類と言われていますから。

かつて楊貴妃やクレオパトラにも愛飲されたというジョージアワイン。世界的にも徐々に注目を浴びつつあります。和食にピッタリのワインとして、日本でクローズアップされる日もそんなに遠くないかもしれません。

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