ワインの賞味期限と飲み頃

ワインに賞味期限はあるのでしょうか・・・?

実はワインは食品でありながら、賞味期限の記載はありません。
食品表示法では、加工食品には消費期限および賞味期限をその容器又は包装に表示することとされていますが、ワインを含む酒類はその特性から長期間の保存に耐え得るものであるため、消費期限や賞味期限の表示を省略できるとされています。
そしてワインは未開封であっても、温度や湿度、光、振動などの外的要因によって影響を受けやすく、品質が変化してしまうことがあります。そのためワインは賞味期限を明記することはできないのです。

でもせっかく購入したワインですから、良いタイミングで開けたいですよね。

すぐに飲んだほうがいいのか・・・、少し熟成させてから楽しんだほうがいいのか・・・ですが心配ご無用、ご安心ください。

現在市場に出回っている現行ヴィンテージのワインは、基本的にすべて「飲み頃」のワインです。なぜならワインは、美味しく飲める状態になるまでワイナリーで保管され、その後リリースされるからです。でもワインによっては、さらに数年熟成させることにより、香りや味わいに複雑さが増し、滑らかにしなやかに変化するものもあります。熟成による変化が、ワインの最大の魅力のひとつでもあります。ただし、良い熟成をさせるためにはワインセラーなどで適切に管理されなければなりませんが・・・。

「飲み頃」という言葉をよくに耳にします。ただ個人的にはあまり使わないようにしています。なぜなら「飲み頃」というのは、あくまで個人の好みによるところが大きいからです。若々しいパワーのある果実味を好まれる方もいれば、熟成による複雑さや優しさを好まれる方もいらっしゃいます。ですから飲み頃は、飲み手が美味しいと思う時期が飲み頃なのだと思います。ワインにもよりますが、同じワインであっても飲み頃の時期は飲み手によって異なるのです。

ただワインによって熟成に耐える年数が違います。
品種によって、産地によって、醸造方法によって、ワインのタイプによってさまざまですが、参考までに大体の目安を記させていただきます。

 

◇2,000円(小売価格)くらいまでのデイリーワイン

基本的に熟成させるタイプではありません。購入したら早めに飲んでいただくのがベストです。ヌーヴォーなどの新酒も早めに飲んでください。

◇スパークリングワイン

シャルマー方式で生産されたフレッシュ感を楽しむイタリアのプロセッコなどのスパークリングワインは、早めに飲んでいただくのが良いと思います。
シャンパーニュのような伝統製法(瓶内二次発酵)で生産されたものは、リリース直後から美味しく楽しめますが、さらに数年の熟成も可能です。上級のシャンパーニュに関しては30年くらいの熟成が可能なものもあります。

◇3,000円(小売価格)前後以上の白ワイン、ロゼワイン

ヴィンテージ(収穫年)が同年~1年前くらいのもので店頭に並んでいるものは、フレッシュ感を楽しむタイプのものが多いです。そのフレッシュ感を楽しむなら、早めに飲んでいただくのがおすすめです。1~2年熟成させることにより、変化を楽しめるものもあります。
また蔵出しされて間もない白ワインで、ヴィンテージが約2年以上前のものに関しては、さらなる熟成を楽しめるワインもあります。価格的にもやや高めのものが多いです。
上級のブルゴーニュの白ワインは30年くらいの熟成も可能です。

◇3,000円(小売価格)前後以上の赤ワイン

一般的に、白やロゼに比べて赤ワインのほうが耐えられる熟成年数が長いものが多いです。ただ若々しい果実味がお好きな方は早めに召し上がっていただくのが良いかと思います。ワインのタイプによりますが、数年~十数年熟成させることにより魅惑的な変化を見せてくれるワインもあります。
上級のブルゴーニュを始めとする上級赤ワインに関しては30年、上級のボルドーに関しては50年の熟成にも耐えるものもあります。

また、オールドヴィンテージのワインや酸化防止剤無添加ワインなどは、早めに召し上がっていただくのが良いと思います。
甘口ワインに関しては、上級のものは80年くらいの熟成に耐えるものもありますが、果実のフレッシュさを楽しむ甘口に関しては、やはり早めに飲んでいただくのが良いと思います。

賞味期限のないワインの変化は、私たちの人生と似ています。
最初は若々しくパワーがありますが、だんだん落ち着いて優しくなって、複雑さを増していく・・・。
どの時期が一番か、飲み頃かなんて決めつけることはできませんし、それぞれの時期でそれぞれの魅力を放ちます。

どの時期のワインと出会えるのか、まさに一期一会なのです。

関連する記事 ブログ一覧