ワインの温度

以前、コラム03でスパークリングワインや白ワインを召し上がっていただく際の適温についてお話させていただきました。


ワインの味わいを変化させる要素として、

・デカンタなどの別の容器に移すなどして空気に触れさせる
・どんな形状のグラスを選択するか
ということも大切ですが、やはり最も影響が大きいと思われるのが、「温度」でしょう。

最近は新型コロナの流行により外食の機会が減り、もっぱら家飲みという方も多いのではないでしょうか?
そんなとき、ワインをそれぞれの「適温」にしていただくことにより、家飲みがより美味しく、より楽しくなりますよ。


ワインの温度が味わいに与える影響ですが、

・ワインの温度を下げると・・・
味わいのフレッシュ感が際立ちます。酸味がよりシャープな印象となるので味わいのバランスが引き締まり、スマートでよりドライな味わいとなります。そして苦味や渋味の印象も強くなります。果実香などのブドウ由来の香りはしっかりと感じられます。

・逆にワインの温度を上げると・・・
香りの広がりが大きくなり、熟成による複雑性が感じられるようになります。酸味の印象は柔らかくなり甘みが強く感じられるようになるので、まろやかでふくよかなバランスとなります。苦味や渋味の印象はやさしくなります。

このように文章にするとなんだか複雑に感じますが、私たちは日常生活でごく当たり前に温度変化による味わいの違いを感じています。
例えばコーラ。しっかり冷やして飲めば爽快さも感じられる引き締まった味わいですが、ぬるくなってしまったコーラは甘みが強調され、だらっとゆるい味わいになりますよね。
また緑茶は常温では気にならない渋みも冷やすことで強調され、苦く渋く固い味わいに感じられます。

基本的に白ワインは「甘み(アルコールも含む)」と「酸味」の2つの要素のボリュームとバランス等によって味わいが決まります。
「渋み」の要素はありませんのでとりあえず冷やしてしまってOKです。
白ワインの基本温度を10℃とし、それより冷やすのか、それとも温度を上げるのか・・・。
購入元の商品説明などでおすすめ温度が書いてあれば悩まずにすみますが、そのような表示が見つからなかったら・・・。

その解決法の一つとして、「価格」があります。

低価格のワインは、収穫年は新しく、シンプルに醸造され、フレッシュでストレートにブドウの味を感じられるものが多いです。
その個性を長所として生かすにはしっかり冷やすのが良いでしょう。
食事を楽しんでいる間は、ワインクーラーなどで温度が上がらないようにしたほうが良いですね。

一方、高価格のワインは、ブドウ栽培、醸造、熟成など、ワインができるまでのあらゆる段階において、お金と時間をかけられています。
収穫年から数年経っており、複雑で豊かで奥深い味わいです。その個性を最大限に発揮するにはやや高めの温度がいいわけです。
今日は奮発して上級の白ワインを飲もうと思ったら、食事前に少し冷やして10℃くらいにし、食事中はボトルを出して徐々に温度を上げながら楽しむと良いでしょう。

赤ワインも同様です。ただ赤ワインには白ワインにはない「渋み」の要素が加わります。
「甘み(アルコールも含む)」と「酸味」、そこに「渋み」を加えたトライアングルのボリュームとバランス等によって味わいが決まります。
渋みがあるため、完全に冷やしてしまうと渋みがきつくなりすぎてしまいます。
赤ワインの基本温度を18℃とすれば、低価格でフルーティーなワインは少し冷やして、高価格の複雑なものは18℃~20℃くらいで楽しむが理想です。

 

 

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